中長期の在留資格で日本に住む外国人が、日本の電話番号を持つ音声通話付きの携帯回線を契約するには、法律に基づく本人確認が必要で、在留カードがその軸になる。本記事は総務省と各携帯事業者の公式ページに基づき、必要書類・在留期間による制約・支払い手段・乗り換え(MNP)・帰国時の解約までの実務を、出典と時点を添えて説明する。公表資料に基づく整理であり、実地の店頭対応や使用感は検証していない。特定の事業者の推奨も行わない。

音声契約に本人確認が必要な理由

日本で音声通話付きの携帯回線、つまり070・080・090などで始まる電話番号を持つ契約を結ぶ際、事業者には契約者の本人確認が法律で義務づけられている。根拠は携帯電話不正利用防止法で、総務省の解説ページによれば、契約時と譲渡時に本人確認を行う義務があり、SIMカード単体の契約にも同様のルールが適用される(2026年8月14日取得時点)。

一方、総務省の事業者向けQ&Aによれば、データ通信専用のSIMはこの法律の対象外だ。通話番号のいらない訪日旅行者が本人確認なしでプリペイドのeSIMやデータSIMを使えるのはこのためで、短期のデータ通信の選び方は当サイトの別記事(eSIM・モバイルデータ通信ガイド)で扱っている。他方、日本で暮らす在留者は、銀行口座の開設や各種サービスの登録で日本の電話番号の記入を求められる場面が多く、本人確認を経た音声契約が事実上必要になる。本記事はこの在留者の音声契約に絞って説明する。

本人確認手続きの変化 — オンラインはICチップ読み取りへ

2026年は本人確認のルールが大きく動いた年になった。povo2.0の公式告知によれば、2026年4月1日施行の携帯電話不正利用防止法施行規則の改正に伴い、非対面(オンライン)契約では本人確認書類の画像アップロード+顔写真照合の方式が2026年3月24日で終了し、以降はマイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)か、運転免許証・在留カード等のICチップ読み取りと容貌撮影の組み合わせのみとなった。オンラインで申し込むなら、書類のICチップを読み取れるスマートフォンが前提になる。

店頭(対面)契約については、総務省が2026年3月13日付でICチップ読み取り導入に向けた施行規則改正案の意見募集(2026年3月14日〜4月13日)を実施した段階までが一次情報で確認できる範囲で、本記事の執筆時点で対面契約への義務化の施行は確認できていない。店頭では従来どおり書類原本の提示が基本だ。

また、2026年6月14日以降に交付が始まった第二世代在留カードや特定在留カード(マイナンバーカード機能一体型)へのオンライン本人確認の対応は、各社で過渡期にある。例えばahamoの公式ページは、これらの新様式カードはオンライン申込では利用できないとし(2026年8月14日取得時点)、LINEMOは別の本人確認方法に「対応予定」と案内している。新様式カードを持つ人は、申込前に各社の対応状況を公式ページで確認したい。

外国籍の場合の必要書類 — 主要各社の要件

外国籍の契約者は在留カードが本人確認書類の軸になるが、組み合わせの要件は社ごとに異なり、同じ社でも店頭とオンラインで違いうる。以下は各社の公式ページで確認できた要件だ(いずれも2026年8月14日取得時点)。

楽天モバイルは2026年5月15日付の告知で、在留カード等のICチップに登録された住所が券面の記載と異なる場合はWebの本人確認が使えず、ショップでの申込が必要になるとしている。オンライン完結を予定している人は、自分のカードの住所登録の状態や裏面の更新履歴を先に確認しておくと手戻りを避けられる。

  • ドコモ(店頭): 在留カード+外国発行パスポート。在留資格が「永住者」ならパスポートは不要。クレジットカード払いやキャッシュカードでの口座振替なら補助書類は不要で、預金通帳+届け印で口座振替を手続きする場合は住民票などの補助書類が必要
  • au(店頭): 在留カード(第二世代含む)+外国発行パスポート、または特定在留カード。在留カードの住居地が「未定」表記の場合は補助書類が必要
  • ソフトバンク(店頭): 在留資格が「永住者・高度専門職2号」なら在留カード1点で可。その他の在留資格は在留カード+外国パスポート、または特別永住者証明書
  • 楽天モバイル: 顔写真付き在留カードまたは顔写真付き特別永住者証明書(表裏・有効期限内)。記載住所が最新でない場合は発行6カ月以内の補助書類が必要
  • ahamo(オンライン): マイナンバーカード・運転免許証・在留カード・特別永住者証明書のいずれか1点
  • povo2.0(オンライン): マイナンバーカード・運転免許証・在留カードの3種のみ
  • LINEMO(オンライン): 永住者は在留カードまたは特別永住者証明書の1点で可。その他の在留資格は在留カード+外国パスポートの組み合わせ

在留期間・在留資格による制約

在留期間の残りが短いと、契約内容や支払い方法に制約がかかる場合がある。公式ページで明文を確認できたものは次のとおりだ。ドコモは、在留期限まで3か月未満の場合は支払いが契約者本人名義のクレジットカードに限られ、在留カードに記載の残存期間が分割払い契約期間に満たない場合はドコモの分割払いを利用できない場合があるとする(2026年8月14日取得時点)。auは在留期限が90日未満の場合、毎月の料金の支払いが契約者本人名義のクレジットカードに限られ、在留期限が分割支払い期間に満たない場合は端末の分割購入契約を申し込めないことがあるとする。ソフトバンクも、在留期限が割賦契約期間に満たない場合は割賦購入契約ができないと案内する。povo2.0は在留カード利用時に在留期間が90日以上あることを条件として明記している。

一方、楽天モバイルの公式ページには、編集部で確認したかぎり残存期間による支払い・分割の同種の明文は見当たらなかった。また、「残存期間が◯日未満だと契約自体を結べない」という明文は、どの社の公式ページにも確認できなかった。制約の基準は社ごとに異なるため(ドコモは3か月・auとpovo2.0は90日)、「全社共通で残り90日必要」といった一般化はできない。在留期限が近い人は、申込前に契約したい社の公式ページか店頭で自分の状況を確認するのが確実だ。

在留カードを持たない短期滞在(90日以下)の訪日者はどうか。「短期滞在者は契約不可」という明文は各社ページで確認できなかったが、各社の外国籍向け本人確認書類は在留カード等を前提としており、ソフトバンクのプリペイド携帯(シンプルスタイル)ですら在留カード+外国パスポート等の原本を求める(2026年8月14日取得時点)。書類要件を満たせない以上、短期滞在で音声契約を結ぶのは現実には難しく、本人確認が不要なデータ専用SIM・eSIMが受け皿になる。

契約チャネルと支払い手段の実務

契約先は大きく3つに分かれる。店頭サポートのある大手キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)、店頭を持たないオンライン専用プラン(ahamo・povo2.0・LINEMO)、そして回線を借りて提供するMVNO(いわゆる格安SIM)だ。オンライン専用は申込からサポートまでWeb完結が前提で、ICチップ読み取りに対応したスマートフォンと、対応言語での手続きが必要になる。日本語での手続きに不安がある場合は、多言語スタッフのいる店頭か、多言語の申込ページを持つ事業者を選ぶのが現実的だ。

支払い手段は口座振替とクレジットカードが基本で、口座振替には日本の銀行口座が要る。外国発行クレジットカードの可否については、楽天モバイルが外国籍向けガイドで帰国時の選択肢として海外発行カードへの変更を案内しているのが編集部で確認できた唯一の公式記載で、ドコモ・au・ソフトバンク・オンライン専用ブランドについては可否の公式明記を発見できなかった。外国発行カードで契約したい場合は、申込前に店頭か公式サポートで確認してほしい。

来日直後は日本の銀行口座もクレジットカードもまだ無い、という状況は起こりやすい。口座・カード・電話番号をどの順序で揃えるかは在留資格や勤務先・学校のサポート体制にもよるため、本記事では、支払い手段の要件は社ごとに違うことを前提に、申込前に各社公式ページで自分が用意できる支払い手段が使えるかを確認することを勧めるにとどめる。

乗り換え(MNP)と解約金の現状

以下は2026年8月14日時点のスナップショットだ。電話番号そのままの乗り換え(MNP)は、2023年5月24日に始まったワンストップ方式で手順が簡素化された。総務省の携帯電話ポータルサイトによれば、対応事業者間なら乗り換え先のWebサイトで申し込むだけでMNP予約番号の発行が不要になり、Web手続きなら転出手数料は無料、電話や店頭での申込は1,100円以下の手数料がかかる場合がある。対応事業者は大手4社とそのオンライン専用ブランドのほか、日本通信・mineo・IIJmioなどのMVNOを含む(2024年9月30日時点のリスト)。

解約金は「今はどこも無料」という認識のままだと足をすくわれる。ドコモは2021年10月1日に定期契約プランの解約金を廃止し、auも「2年契約/2年契約N」の解約に契約解除料はかからないとFAQに明記する(2025年8月20日更新)。一方でソフトバンクは、2026年7月1日以降に新規契約・のりかえで加入した回線を提供開始月から12カ月以内に解約する場合、プランに応じて385円〜1,100円(税込)の契約解除料を請求するとFAQで案内している(2026年8月14日取得時点)。ワイモバイル・LINEMOへの番号移行と8日間キャンセルは対象外だ。

ドコモ・au・楽天モバイルが同種の短期解約向け制度を導入しているかどうかは、本記事の執筆時点で公式一次情報を確認できていない。解約金の有無と金額は今後も変わりうるため、契約前と解約前のそれぞれの時点で、公式ページの最新の条件を確認してほしい。

帰国・在留期間満了時の解約

帰国時にもっとも避けたいのは、回線を解約しないまま出国してしまうことだ。楽天モバイルの外国籍向け公式ガイドは、解約手続きをしないと帰国後も毎月の利用料金が発生し続けると明記し、在留期限が過ぎると日本発行のクレジットカードや銀行口座が使えなくなる場合があることも注意点として挙げている(2026年8月14日取得時点)。

同ガイドは帰国前の選択肢として、海外発行カードへの支払い方法の変更、コンビニ払込票での支払い、家族などによる代理払いを案内している。ここまでまとまった外国籍向けの解約・支払いガイドは、編集部で確認したかぎり他社では見当たらなかったが、解約の手続きと窓口は社ごとに異なる。帰国日が決まったら早めに契約先の公式ページで解約方法と請求の締めを確認し、出国前に手続きを済ませるのが安全だ。端末の分割払いが残っている場合は、残債の扱いも合わせて確認したい。

多言語サポート窓口と最新情報の確認方法

多言語での問い合わせ窓口は、公式ページで実在を確認できた範囲でも社ごとに差がある(いずれも2026年8月14日取得時点)。

本記事は総務省と各社の公式ページに基づく整理であり、実地の店頭対応は検証していない。本人確認の方式・必要書類・解約金・サポート言語はいずれも動いている最中のため、申込や解約の直前に、契約先の公式ページで最新の条件を確認することを勧める。一次情報の入口は記事末尾の出典一覧にまとめた。

  • ドコモ: インフォメーションセンターが英語・ポルトガル語・中国語・スペイン語に対応(一般電話から0120-005-250、9時〜20時)
  • au: 電話窓口が英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ネパール語などの9言語に対応(9時〜20時、盗難・紛失は24時間)。多言語対応店舗の検索機能もある
  • ソフトバンク: 英語サポートページで銀座・表参道など多言語スタッフ常駐ショップを案内。英語専用の電話番号の記載は無い
  • 楽天モバイル: 英語を含む8言語切替の公式サイトがある。電話サポートは日本語のみと明記
  • LINEMO: 2025年3月26日から申込ページが英語・中国語・韓国語・ベトナム語の4言語に対応

参考・出典