日本には約5万6000店のコンビニがあり(日本フランチャイズチェーン協会の正会員7社ベースで2026年6月は56,147店)、都市部ならたいてい数分歩けば1軒見つかります。24時間開いていて、食事も現金の引き出しも荷物の発送もここで済む。この記事では訪日客と日本在住者に向けて、3大チェーンの性格の違い、何を食べれば外さないか、レジでの温めや箸の頼み方、海外発行カードでの現金引き出し、各種支払い、そしてコピー機やトイレといった「食以外」の機能までを、相場と手順つきで整理します。
3大チェーンの性格 — セブン・ローソン・ファミマ
日本のコンビニは「セブン-イレブン」「ローソン」「ファミリーマート」の3社がほとんどの街を占めます。3社の国内店舗数は合わせて約5万3000店(セブン-イレブン21,734店=2026年6月末、ファミリーマート16,449店=同年6月末、ローソングループ14,697店=同年2月末。各社公表)。品揃えの基本は似ていますが、力を入れる分野に個性があります。どの店に入っても失敗はしませんが、目的があるなら選ぶと満足度が上がります。
セブン-イレブンは国内最大手で、国内店舗数は21,734店(2026年6月末・セブン&アイの月次営業情報)。自社ブランド「セブンプレミアム」の食品の完成度が高く、おにぎりや弁当、スイーツの平均点が高いのが強み。海外発行カードに対応した「セブン銀行ATM」を店内に備えるのも大きな利点です。
ローソンはデザートと健康志向で存在感があります。「Uchi Café(ウチカフェ)」のスイーツ、とりわけプレミアムロールケーキやシュークリームが定番人気。上位業態として「ナチュラルローソン」もあります。ファミリーマートはホットスナックに強く、レジ横の「ファミチキ」をはじめ揚げ物の充実で知られています。
- セブン-イレブン: 食品の平均点が高い/海外カード対応のセブン銀行ATMを店内に設置
- ローソン: スイーツと健康志向
- ファミリーマート: ホットスナック(ファミチキ等)が充実
何を食べる — おにぎり・弁当・ホットスナック・スイーツ・ドリンク
まず外さないのがおにぎり。パリッとした海苔で巻いた三角形の握り飯で、鮭・梅・ツナマヨ・昆布など具の種類が豊富です。値上げが続いており、セブン-イレブンの商品一覧では本体220円(税込237円)前後が最も多く、安いもので税込118円台からです(2026年8月時点)。手を汚さず食べ歩けるので旅行中の軽食に向きます。
しっかり食べたいなら弁当。幕の内や丼もの、パスタまで揃い、価格帯はおおむね500〜700円前後(2026年時点)。レジで温めてもらえます。レジ横の温かいショーケースにあるホットスナックも名物で、ファミリーマートの「ファミチキ」は税込248円前後(2026年3月改定)、ローソンの「からあげクン」は税込288円です(2026年8月時点・ローソン公式)。
スイーツはローソンのシュークリームやロールケーキ、セブンのロールケーキ、各社の季節アイスが定番で、価格はおおむね150〜400円前後。ドリンクはペットボトル飲料に加え、各社のカウンターコーヒー(レギュラー100〜150円前後)が安くて質が高く、常連の定番になっています。
- おにぎり: 本体220円(税込237円)前後が中心(2026年8月時点)
- 弁当: 500〜700円前後(温め可)
- ホットスナック: ファミチキ 税込248円/からあげクン 税込288円
- スイーツ: 150〜400円前後/カウンターコーヒー 100〜150円前後
レジで温めてもらう・箸をもらう
弁当や中華まん、ホットスナックは、レジで会計する前に店員から「温めますか?(あたためますか?)」と聞かれます。温めてほしければ「はい/お願いします」、そのままなら「いいえ/大丈夫です」と答えるだけ。英語が通じる店員も増えていますが、指をさして「Warm, please」でも問題なく伝わります。
弁当や麺類を買うと、箸やスプーン、フォークはレジで付けてくれます。付かない場合や複数ほしい場合は「箸をください(はしをください)」と言えば大丈夫。近年はプラスチック削減で、聞かれてから渡す店や有料の店も一部あります。温かい物と冷たい物、常温の物は袋を分けてくれることも多いです。
イートインコーナーのある店では、その場で食べていくこともできます。店内で飲食すると軽減税率の対象外(外食扱い)になり税率が変わる場合があるため、レジで「店内で食べます」と伝えるとスムーズです。
支払い方法 — 現金・交通系IC・QR決済・クレジット
コンビニは日本で最もキャッシュレスが進んだ場所の一つで、支払い手段が豊富です。現金はもちろん、交通系ICカード(Suica/PASMO/ICOCA など全国相互利用対応)、QRコード決済、クレジットカード、各社の電子マネーが使えます。少額でもカードやスマホで支払えるのが日本のコンビニの快適さです。
交通系ICは「Suicaマーク」のある店ならタッチだけで完了し、旅行者にも扱いやすい方法です。QR決済はPayPay・d払い・楽天ペイ・nanaco などが主要チェーンで使えます。ただしPayPayなど国内向けQR決済は日本の銀行口座や対応カードでの入金(チャージ)が前提で、短期滞在の訪日客にはハードルがある点に注意してください。
クレジットカード(Visa/Mastercard/JCB/American Express など)は商品購入では広く使えます。海外発行のタッチ決済対応カードならそのままかざせることが多く、訪日客には現金+交通系IC、または海外カードのタッチ決済の組み合わせが現実的です。なお公共料金などの収納代行(バーコード付き請求書の支払い)は現金のみのことが多い点は覚えておくとよいでしょう。タッチ決済は3社とも公式に案内していますが、運用は少し違います。セブン-イレブンは1万1円以上だと非接触決済が使えず挿し込みに切り替わり、銀聯クレジットはタッチ非対応。ファミリーマートは1万円以上で暗証番号、ローソンは1万円以上でサインまたは暗証番号(銀聯は金額を問わず暗証番号)が必要です。ファミリーマートとローソンは、支払回数を1回のみとし、カードの複数枚併用と、POSAカード・切手・印紙・電子マネーチャージへのカード払いを対象外と明記しています。
- 現金: どの店でも確実
- 交通系IC: Suica/PASMO/ICOCA 等、タッチで完了(旅行者向き)
- QR決済: PayPay/d払い/楽天ペイ 等(多くは国内口座・カードでのチャージが前提)
- クレジット: 商品購入は広く可。タッチ決済は3社対応。1万円を超えるとセブンは挿し込みに切替、ファミマ・ローソンはサインか暗証番号
ATMで海外発行カードから日本円を引き出す
現金が必要になったら、コンビニのATMが頼りになります。とくにセブン-イレブンの「セブン銀行ATM」は海外発行カードへの対応が手厚く、全国の店舗や駅・空港に多数設置され、原則365日使えます。ただし利用できる時間帯はカードブランドによって少し違います。画面は英語・中国語(簡体字/繁体字)・韓国語・タイ語・ベトナム語など、日本語を含む12言語から選べます。
セブン銀行ATMが受け付けるのは、VISA・PLUS・Mastercard・Maestro・Cirrus・UnionPay(銀聯)・American Express・JCB・Discover・Diners Club のマークが付いた海外発行カードです。1回あたりの引き出し限度額は10万円で、磁気ストライプでの取引は3万円。利用できる時間帯はVISAとMastercardが0時〜24時、JCB・Discover・銀聯が0時10分〜23時50分、American Expressが0時5分〜23時50分、Diners Clubが0時5分〜23時55分と、ブランドで差があります。
手数料はカードの発行会社側の海外利用手数料に加え、ATM利用手数料がかかる場合があります(金額はカードや取引により異なる)。ファミリーマートやローソンのATMも海外発行カードに対応しますが、1回の上限が違います。ローソン銀行ATMは1回5万円まで・1万円単位で、画面は日本語・英語・中国語(簡体字)・韓国語。ファミリーマート等のゆうちょ銀行小型ATMは、海外発行カードでの引き出しが1回5万円以下、取扱時間は0時5分〜23時55分で、一部のカードには1回220円(税込)の利用手数料がかかります。まとまった額が必要なら、1回10万円まで引けるセブン銀行ATMの方が取引回数を減らせます。
- 対応マーク: VISA/PLUS/Mastercard/Maestro/Cirrus/銀聯/American Express/JCB/Discover/Diners Club
- 1回の限度額: セブン銀行10万円(磁気ストライプは3万円)/ローソン銀行5万円/ファミマ等のゆうちょATMは5万円以下
- 稼働: 原則365日/画面は12言語。利用できる時間帯はカードブランドで異なる
- 手数料: カード発行会社の手数料+ATM利用手数料(ゆうちょは一部の海外発行カードで1回220円)(2026年8月時点)
食以外の実用機能 — コピー機・チケット・宅配・トイレ
コンビニは「食」だけの場所ではありません。各店にあるマルチコピー機では、コピー・プリントに加え、スマホアプリやUSBメモリ、Wi-Fi経由で送ったデータの印刷、証明写真、行政書類の発行(対応自治体のみ)などができます。使い方は画面の案内に従うだけで、多くは操作後30分以内にレジで支払う流れです。
チケットも買えます。セブン-イレブンは店内端末やマルチコピー機(セブンチケット)、ファミリーマートは「Famiポート」系サービス、ローソンは「Loppi(ロッピー)」で、映画・スポーツ・イベント・レジャー施設のチケットを発券できます。端末で申し込むとレシートが出るので、それをレジに持って支払います。
宅配便の発送・受け取りにも対応しています(提携する運送会社はチェーンにより異なります)。さらにATM、公共料金の支払い、コピー、無料Wi-Fi、そして多くの店にあるトイレなど、旅先で困ったときの駆け込み先として機能します。トイレは店員に一声かけると安心です。ただしこれらは店が開いていてこそ使えます。24時間営業は絶対ではなく、人手不足を背景に深夜休業や時短営業に切り替える店が増えました。オフィス街や観光地の店は休日の営業時間が変わり、地方や住宅街では品揃えも都市部と違います。深夜・早朝に地方を移動する日は、開いていない前提で計画するほうが安全です。
- マルチコピー機: コピー・印刷(アプリ/USB/Wi-Fi)・証明写真・行政書類
- チケット発券: セブンチケット/Famiポート/Loppi
- 宅配便の発送・受け取り(提携運送会社はチェーンで異なる)
- ATM・公共料金支払い・無料Wi-Fi・トイレ(ただし24時間営業は絶対ではない。深夜休業・時短が増加し、地域差もあり)
アレルギー表示の読み方 — 義務表示9品目と、店頭で確認できないこと
容器包装された加工食品には、消費者庁が定める「特定原材料」を含む旨の表示が義務づけられています。2026年4月1日の食品表示基準改正でカシューナッツが加わり、義務表示は えび・かに・くるみ・カシューナッツ・小麦・そば・卵・乳・落花生 の9品目になりました。ただし2年間の経過措置期間があり、その間はカシューナッツを追記していない商品も並びます。アーモンド・ごま・大豆・牛肉・豚肉・鶏肉・ゼラチンなど20品目は「特定原材料に準ずるもの」で、表示は推奨(任意)。同じ改正でピスタチオもこの推奨側に加わりました。
表示義務の範囲も知っておくと、店頭での判断が変わります。義務があるのは容器包装された加工食品だけで、弁当・おにぎり・サンドイッチ・麺類には原材料名とアレルゲンのラベルが付きます。一方、レジ横の揚げ物やおでん、中華まんのように容器包装せずに売る商品、イートインで提供される飲食、酒類は義務の対象外です。
交差接触(コンタミネーション)は表示だけでは読み切れません。消費者庁の運用では、「本品製造工場では〇〇を含む製品を生産しています」といった注意喚起表示は望ましいとされる任意の表示で、混入の頻度と量が少なければ表示しなくてよいとされています。「入っているかもしれません」という可能性表示は認められていません。つまり注意喚起がないことは、混入がないことの証明にはなりません。公式のアレルゲン情報にも「アレルギー症状が発症しないことを保証するものではない」「専門医に相談のうえ自身で判断を」と明記されています。既往のある人は主治医の指示に従ってください。
- 義務表示9品目(2026年4月1日〜): えび・かに・くるみ・カシューナッツ・小麦・そば・卵・乳・落花生
- カシューナッツは2年間の経過措置期間あり — 未対応の表示も流通しうる
- 豚肉・牛肉・鶏肉・ごま・大豆・ゼラチンなど20品目は推奨表示(任意)
- 義務は容器包装された加工食品のみ。レジ横の揚げ物・おでん・中華まん、イートイン、酒類は対象外
ハラル・ヴィーガンで選べるもの、期待できないこと
結論から言えば、期待しすぎないのが安全です。観光庁のガイドによれば、ハラール認証に世界統一基準はなく、認証機関は世界に300以上あるとされます。棚で共通のマークを探す方法自体が成り立ちません。日本の食品表示制度が義務づけているのはアレルギー表示であって、宗教上・信条上の可否を判定する制度ではない、という点が出発点になります。
見落としやすいのは、動物性が姿を変えて入ってくる経路です。同ガイドは、ムスリムが避けるものとして豚肉そのものに加え、乳化剤・ショートニング・ゼラチン・コラーゲンなどに含まれる豚由来成分、そしてみりんを含むアルコールを挙げています。ヴィーガンは卵・乳製品に加えて蜂蜜やゼラチンも避け、日本食で多用される出汁がかつおなど動物由来であれば該当します。しかも豚肉・牛肉・鶏肉・ゼラチンは推奨表示なので、アレルゲン欄だけでは分かりません。原材料名そのものを読む必要があります。
実務では、原材料名が短い商品ほど判断しやすくなります。逆に「乳化剤」はアレルギー表示の「乳」とは別物ですが、由来が豚なのか植物なのかまでは表示されません。原材料名を読み切れないときは、判断を急がないことです。
店頭での実践 — 植物性の選択肢と、最後のチェック
植物性の候補は、原材料名が短い商品から探すのが早道です。塩むすびや梅・昆布のおにぎり、素焼きナッツ、果物、プレーンなパンなど。原材料名が長いほど、動物性が混ざる経路も増えます。
中華まんのショーケースには、あんまん(小豆あん)のように植物性の選択肢が混じっていることもあります。一方、レジ横の揚げ物は肉・魚と同じフライヤー・同じ油を共用するため、交差接触が気になるなら避けるのが無難です。
最後のチェックは店頭に立つ前に済ませるのが確実です。3社とも原材料・アレルゲン情報を自社サイトで公開しており、弁当やおにぎりだけでなく、揚げ物・おでん・中華まんといったラベルのないカウンター商材も対象です。掲載は原則日本語なので、翻訳アプリを併用してください。
- パッケージの原材料名とアレルゲン表示が最終判断(一括表示なら原材料名欄の末尾)
- 塩むすび・梅おにぎりは分かりやすい植物性の選択肢
- ホットスナックは揚げ油共用のため交差接触に注意
- 判断がつかないものは買わない。カウンター商材の情報も各社サイトで確認できる
参考・出典
- 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」(特定原材料等の図・令和8年4月時点)
- 消費者庁「アレルゲンを含む食品に関する表示について」(令和8年4月1日事務連絡・PDF)
- 消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック(令和8年4月)」(PDF)
- セブン‐イレブン「アレルギー表示」
- セブン‐イレブン「アレルギー情報・栄養成分」(揚げ物・おでん・中華まん・セブンカフェ)
- ファミリーマート「アレルゲン、栄養成分、主要原料原産地、原産国・地域」
- ローソン「アレルギー情報について」
- 観光庁「ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者おもてなしガイド」(令和6年4月・PDF)
- セブン銀行「ATMで使える海外発行カード」
- セブン銀行「ATMの使い方と利用時の注意点」
- ローソン銀行「International ATMs」
- ゆうちょ銀行「International ATM Service(海外発行カードによる現金引出しサービス)」
- セブン‐イレブン「ご利用可能なお支払い方法」
- ファミリーマート「クレジットカード」(ご利用可能な決済サービス)
- ローソン「利用できるお支払方法」
- 日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計データ」(月報 2026年6月度)
- セブン&アイ・ホールディングス「月次営業情報」(2026年7月15日更新)
- ファミリーマート「店舗数」(2026年6月30日現在)
- ローソン「売上高/店舗数」(2026年2月末現在)
- ローソン「揚げ物・からあげクン」公式(税込288円)
- セブン-イレブン「おにぎり」商品一覧(価格分布)
