日本で暮らす外国人が、初めて400万人を超えました。出入国在留管理庁が2026年3月に公表した統計によると、2025年12月末時点の在留外国人数は412万5,395人で、過去最多を更新。10年前の約1.85倍という規模です。この記事では、国籍別・在留資格別・都道府県別の内訳から、外国人労働者の最新統計、そして2027年4月に迫る技能実習制度から育成就労制度への大転換まで、公的データをもとに全体像を整理します。
総数412万人 — 10年で1.85倍に増えた在留外国人
出入国在留管理庁が2026年3月27日に公表した統計によると、2025年12月末(令和7年末)時点の在留外国人数は412万5,395人。前年末から35万6,418人(9.5%)増え、統計上初めて400万人の大台を超えました。国籍・地域の数は196(無国籍を除く)に上り、男女比は男性51.2%・女性48.8%とほぼ半々です。
10年前の2015年末は223万2,189人でしたから、この10年で約189万人、およそ1.85倍に増えた計算になります。新型コロナ禍の2020〜2021年には一時減少したものの、水際対策の緩和以降は毎年30万人以上のペースで増加が続いています。
国籍・地域別 — 中国・ベトナムの2強、ネパールが急伸
国籍・地域別のトップ5は次のとおりです(2025年12月末時点・カッコ内は前年末比)。
注目はネパールです。増加数(約6万8,000人)は中国を上回ってトップ5中最大で、留学や就労を目的とした来日が背景にあるとみられます。一方、長く上位を占めてきた韓国は横ばいから微減で推移しており、新規来日層による増加が続く東南アジア・南アジア勢との対比が鮮明です。
- 中国: 93万428人(+5万7,142人)— 全体の約23%を占める最大グループ
- ベトナム: 68万1,100人(+4万6,739人)— 技能実習・特定技能など就労系資格の主力
- 韓国: 40万7,341人(-1,897人)— トップ5で唯一の微減
- フィリピン: 35万6,579人(+1万5,061人)— 就労・身分系の資格で安定的に増加
- ネパール: 30万992人(+6万7,949人)— 増加数はトップ5で最大、前年比約29%増で初の30万人台
在留資格別 — 特定技能が1年で10万人増、技能実習はほぼ横ばい
在留資格別の主な内訳は次のとおりです(2025年12月末時点)。
対照的なのが技能実習と特定技能です。2027年の制度廃止を控えた技能実習が前年末比わずか23人増と完全に頭打ちになる一方、特定技能は1年で10万人以上増えました。人手不足分野における新規受け入れの主役が、すでに特定技能へ移りつつあることがデータからはっきり読み取れます。
また、最大の在留資格が「永住者」である点も見逃せません。約95万人と在留外国人の4人に1人近くが永住資格を持っており、日本の外国人人口が一時滞在型から定住型へ移行していることを示しています。
- 永住者: 94万7,125人(+2万9,009人)— 最大の在留資格で全体の約23%
- 技術・人文知識・国際業務: 47万5,790人(+5万7,084人)— エンジニアや事務系専門職など
- 留学: 46万4,784人(+6万2,650人)— コロナ禍前を超えて増加中
- 技能実習: 45万6,618人(前年末比+23人)— 事実上の頭打ち
- 特定技能: 39万296人(+10万5,830人)— 前年比約37%増と最も勢いがある
どこに住んでいるか — 上位5都府県で全体の半分超
都道府県別では、東京都が80万1,438人(全国の19.4%)で突出しています。以下、大阪府37万5,319人、愛知県35万7,800人、神奈川県31万7,353人、埼玉県29万937人と続き、上位5都府県だけで全体の約52%を占めます。
大都市圏への集中は日本人の人口移動と同じ構図ですが、製造業が集積する愛知県が3位に入っている点は、就労目的の在留者の多さを反映しています。もっとも、外国人を雇用する事業所は全国で37万か所を超えており(2025年10月末時点・厚生労働省)、受け入れは大都市圏にとどまらず全国に広がっています。
外国人労働者は257万人 — 人手不足の現場を支える
働き手としての存在感も過去最大です。厚生労働省が2026年1月30日に公表した「外国人雇用状況」の届出状況によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人。前年から26万8,450人(11.7%)増え、届出が義務化された2007年以降の最多を更新しました。外国人を雇用する事業所も37万1,215か所(前年比8.5%増)と過去最多です。
国籍別ではベトナムが60万5,906人(全体の23.6%)で最多となり、中国43万1,949人(16.8%)、フィリピン26万869人(10.1%)が続きます。在留資格別では「専門的・技術的分野」が86万5,588人(前年比20.4%増)で最大のグループとなり、永住者などの「身分に基づく在留資格」64万5,590人、「技能実習」49万9,394人、留学生のアルバイトなど「資格外活動」44万9,324人と続きます。
生産年齢人口の減少が続く日本で、製造・建設・介護・外食などの現場は外国人材への依存度を高めています。単純な人数だけでなく、伸び率が2桁を維持している点に、労働市場の構造的な人手不足が表れています。
制度の転換点① — 技能実習は廃止、2027年4月から「育成就労」へ
この構造変化を制度の側から後押しするのが、2024年6月に成立した改正出入国管理及び難民認定法等です。30年余り続いた技能実習制度は廃止され、新しい「育成就労制度」に置き換わります。施行日は政令により2027年(令和9年)4月1日と確定しました(2025年9月に閣議決定・一部の規定を除く)。
最大の変化は制度の目的です。技能実習が「国際貢献(技能移転)」を建前としていたのに対し、育成就労は「人材確保と人材育成」を正面から掲げ、原則3年間で特定技能1号の水準まで人材を育てる、就労を前提とした制度になります。
働く側にとって重要なのが転籍ルールの緩和です。技能実習では原則認められなかった職場の変更が、育成就労では同一業務区分内で一定期間の就労などの要件を満たせば、本人の意向による転籍が可能になる見込みです(就労期間などの要件は分野ごとに1〜2年の範囲で設定される見込み)。なお、施行時点ですでに在留している技能実習生には経過措置が設けられ、一定の条件の下で技能実習を続けられます。
制度の転換点② — 特定技能2号の拡大と「定住への道」
もう一つの大きな流れが、特定技能制度の拡充です。2019年に始まった特定技能のうち、通算在留期間が5年までの1号に対し、2号は在留期間の更新に上限がなく、要件を満たせば配偶者・子の帯同も可能な長期滞在型の資格です。
この2号の対象分野が、2023年6月の閣議決定で建設・造船の2分野から11分野へ一気に拡大されました。2号の在留者数はまだ数千人規模(2025年6月末時点で約3,000人)にとどまりますが、39万人に達した1号からの移行ルートとして、今後の増加が見込まれます。
育成就労(約3年)→特定技能1号(通算5年)→特定技能2号(更新上限なし)→永住許可申請という段階的なキャリアパスが制度として整いつつあり、日本の外国人受け入れは「期限付きで働いて帰国してもらう」形から「長く働き、定住してもらう」方向へ設計が変わったといえます。
人口減少の中で — これから日本に住む人への実用的な示唆
総務省統計局の人口推計(概算値)によると、2025年10月1日時点の日本の総人口は1億2,321万人で、前年同月から59万人(0.48%)減少しました。総人口が減り続ける一方で在留外国人は増え続け、その割合は総人口の約3.3%に達しています。日本で暮らす人のおよそ30人に1人が外国籍という計算です。
在住外国人や、これから日本への移住・就労を考える読者にとって、今回のデータと制度転換から読み取れるポイントを整理します。
412万人という数字は、日本社会が外国人住民とともに回る段階に入ったことを示しています。2027年4月の育成就労スタートまで制度変更が続く転換期だからこそ、在留資格や進路にかかわる判断は、必ず出入国在留管理庁などの一次情報を確認した上で行うことをおすすめします。
- 就労ルートの主役交代: 新規の就労系在留資格は特定技能が中心になりつつあり、2027年4月以降は育成就労が入口になる(2026年7月時点の制度)
- キャリアパスの明確化: 育成就労→特定技能1号→2号→永住という長期の道筋が制度上つながり、腰を据えたキャリア設計がしやすくなった
- 転籍・転職の柔軟化: 育成就労では一定要件の下で本人意向の転籍が可能になる見込みで、働く側の選択肢が広がる
- 地域選びの参考: 東京・大阪・愛知など外国人住民の多い地域は、行政の多言語対応や生活支援サービスが比較的充実している傾向がある
- 情報の確認先: 在留外国人統計は6月末・12月末時点の年2回公表。制度の詳細は出入国在留管理庁の公式サイトで最新情報を確認する
